24.五箇の鳳詔(ごかのほうしょう)

 宝塔品には、「三箇の勅宣」が説かれていました。
 釈尊はお弟子さんに、自分の滅後に法華経を説きなさいと、指令をだされました。この指令は三回だされたということは、とても大事なことを言われているということが窺えます。
 法華経の始めは仏弟子たちの授記が説かれていました。受記とは仏(如来)になることですので、長年、釈尊について修行されてきたお弟子さんの努力が実ったわけです。大事なことは、この法華経の教えによって成仏できたということです。
 そして、宝塔が大地より出現し多寶仏が釈尊の法華経が最高の教えであることを証明しました。どのような様子だったのでしょうか。『観心本尊抄』(712頁)に、

 本師の娑婆の上に宝塔空に居し、塔中の妙法蓮華経の左右に釈迦牟尼仏・多寶仏・釈尊の脇士上行等の四菩薩。文殊・弥勒等の四菩薩は眷属として末座に居し、迹化・他方の大小の諸菩薩は万民の大地に処して雲閣月卿を見るがごとし。

 宝塔のまわりに、迹化・他方という、迹門のお弟子さんや、娑婆いがいの仏土から来ている菩薩がおられます。普賢・観音・勢至・薬王・薬上という菩薩が宝塔の前に座っておられるのです。文殊・弥勒菩薩は旧住(くじゅう)といいます。
 釈尊は、この宝塔の中より「三箇の勅宣」をされたのです。

 釈尊は、続いて提婆達多品を説かれました。
 このなかに、「二箇の諌暁」が説かれています。
 それは、提婆達多の悪人成仏と、龍女の女人成仏のことです。
 この、二つの授記作仏をあわせて、五箇の鳳詔といいます。
 釈尊は、これらを示して滅後の法華経の弘通を命じられたのです。