26.勧持品(かんじほん)の三類の強敵(ごうてき)

 この勧持品は、釈尊の滅後にいかなる障害があっても、命がけで法華経を説くことを誓ったお経です。
 その代表者は薬王菩薩などの二万の菩薩です。
 一方、娑婆での障害を乗り越えれないとして、他の仏土で布教を誓った仏弟子もいます。それは、釈尊の養母であるマカハジャハダイなどの6千人の比丘尼たちです。釈尊は、一切衆生喜見如来の記を授けています。

 薬王菩薩が、滅後の障害・困難があっても釈尊の意志に従って布教することを誓ったのが、勧持品の20行の偈(げ)というお経です。
 それは、3っつに分けることができます。

 1、俗衆増上慢(ぞくしゅうぞうじょうまん)
 増上慢とは、悟ってもいないの悟っていると思い、高慢になった人を言います。
 俗衆とは、一般の在家の男女です。「諸々の無知の人。悪口し、罵り、刀や杖などで法華経の行者に暴力をふるう」という人。

 2、道門増上慢(どうもん)
 出家した僧侶をいいます。「悪世の中の僧侶は、智慧は邪悪で、心も曲っている。解りもしないのに解ったと思い込んでいる」という僧侶。

 3、僭聖増上慢(せんしょう)
 出家のなかでも、権力をもち、生き仏のように思われている僧侶をいいます。「自分では真実の修行と教えを説いているように見せてはいるが、実には世俗に執着し、偽善をなしている。そして、法華経の行者を国王や大臣、比丘などを利用して殺害しょうと企てる」僧侶がいることを説いています。
 これらの、障害や迫害があっても、釈尊のお言葉に随い命を捨ててでも法華経を説きますと誓ったのが、勧持品の20行の偈です。 

 さらに、「数数見擯出」(しばしば、ひんずいせられん)。
 たびたび、流罪(島流し)に会うということが説かれています。
 日蓮聖人は、伊豆の伊東と佐渡島の二回、流罪にあっています。
 その佐渡で書かれた、『開目抄』に、
 「日蓮、法華経のゆえに度々流されずば、数々の二字をいかんがせん。・・ただ、日蓮一人これを読めり」
 と、法華経の経文に説かれている、このところを、現実に身体で読んだといわれています。そこに法華経を実際に自分の肉体で現実のこととしたと言われます。そして、法華経の行者から、本化の上行菩薩という自覚をはじめて述べていかれるのです。
                         H18.10.18勉強会ノート