28.地湧(じゆ)の菩薩

 勧持品13のお経では、どのような迫害があっても法華経を広めなさいと釈尊はいいました。
 そこで薬王菩薩たち大勢の菩薩は、法華経を広める覚悟をし、釈尊の御前にて誓願を立てたのでした。その言葉を待つようにしていた釈尊でしたが、つぎに言葉にだされたのは他人の感情にさからうことは言わずに、自分の修行を丹念にしなさいということでした。
 これが安楽行品第14のお経です。菩薩たちはこの両極端な言葉にとまどいを感じたのです。釈尊は身体・口・意(こころ)を清め、人々のために生きることを誓願しなさいといわれたのです。これを四安楽の行といいます。

 そして、おもむろに「止(や)みね善男子(ぜんなんし)」と、薬王菩薩たちにいわれました。つまり、薬王菩薩たちに、せっかく誓願をたてさせたけれど、あなたたちには無理なことであるといって、釈尊には過去からの弟子がいて、その者たちがこの法華経を末法に広めるといわれたのです。このとき、大地がかすかに振動して、地からおごそかに湧き出てきた菩薩がおられたのです。その菩薩を「地涌の菩薩」といいます。
 この地涌の菩薩の代表は4人おります。名前を上行(じょうぎょう)菩薩・無辺行菩薩・浄行菩薩・安立行(あんりゅうぎょう)菩薩といいます。
 この4人の菩薩をたんに四菩薩(しぼさつ)とよびます。

 また、この従地湧出品第15から最後の28までを法華経の本門といいます。そこから、この四菩薩のことを、本化(ほんげ)地涌の菩薩といい、法華経が諸経とくらべて、最も勝れているという理由がこの湧出品からはじまります。
 法華経は地涌の菩薩が大地より出現したことから大きな展開をしていきます。これらの大勢の菩薩はみな金色に輝き、とても立派な仏に見えたのです。それは師匠の釈尊よりも尊くみえたのです。
 しかし、これらの地涌の菩薩は釈尊にたいして深々と頭をさげ敬いの言葉をのべるのです。次回はここからお話をはじめます。    H19.3.18 勉強会