327.『宗義大綱読本』1宗義の体系        髙橋俊隆

『宗議大綱読本』(日蓮宗勧学院監修)をいっしょに勉強しましょう。

日蓮宗宗議大綱

1 宗義の体系

理・教・行・証

教 は仏の教え。

行 は教によるところの修行、仏説に随順すること。

証 は修行によって得られるところの証果、さとり。

理―法界の根本法  真理

教―仏の本地法   内容

行―我々の本因法  修行  

證―我々の本果法  成仏(さとり)

  「正・像・末の三時」(正法時代1000年・像法時代1000年、それ以後を末法時代とします)

に配当して、教・行・証の有無を論じますと、日蓮聖人は

「小乗経を以てこれを勘ふるに正法千年は教行証の三つ具さにこれを備ふ。像法千年には教行のみ有りて証無し。末法には教のみ有りて行証無し等云云(略)」(『顕仏未来記』)

とのべています。釈尊が入寂されてからの1000年までの正法時代は、教行証のすべてが現存しているのは、釈尊の教を正しく実行している人たちが大勢おられたことを言います。像法時代になると形だけにとらわれるようになったのです。像というのは内容が希薄になってきたことを表現しています。そして末法時代、釈尊が柔弱されて2000年を経過すると、教・行・証のすべてが消滅してしまうのです。

 教えを学ぶ者はいなくなりますので、修行する人もいない、とうぜん法華経の経力を証明する人もいないのですから、法華経の神通の力が証明されないわけです。現在はそういう末法時代に入って1000年近くになろうとしています。

しかし本門法華経(『妙法蓮華経』の15~28品)のお経の内容から三時の教行証を論じますと、本門法華経の弘まる末法時代こそ、教行証が具足するとされます。日蓮聖人はこういう末法時代に法華経を断絶してはならないと行動された理由がここにあります。それは、釈尊から使命をうけていたからです。

末法時においては国土に謗法の者が充満し、仏道によって悪道に堕ちる者が多く、諸天善神は国を捨離し、邪天邪鬼等が人の身心に入住する。こういう極重病人を癒すには良薬たる本門法華経以外にはないと、法華経の信仰の意義をのべます。

私たち日蓮聖人の弟子信徒は法華経を護持し伝えていく自覚を強めて行動しましょう。

本門法華経の教行証とは、教は一念三千の仏種たる妙法蓮華経の五字、行は南無妙法蓮華経の題目受持、証は五字の受持による釈尊の因行果徳の自然譲与です。