330.五網の{教}について 髙橋俊隆 |
五綱各説{教} 最初に ・一代五時(いちだいごじ)を知ることが大事です。 釈尊は30歳から80歳の入滅まで50年のあいだ教を説かれました。産まれた赤ちゃんが50歳になるまでの期間ですから、そうとう長い間になります。1歳2歳の子供に難しいことは分かりません。釈尊はやさしいことから教えていかれます。法華経は72歳の時から説き始めますので、教を聞くほうも成長しています。 釈尊が説かれた教えの全てを一切経(いっさいきょう)と言います。 この50年間の教を5つの時代に区分して一代五時と言います。 五時 『仏教の教え 釈尊と日蓮聖人』119頁 第二時 鹿苑時(ろくおんじ 阿含経) 第三時 方等時(ほうどうじ) 第四時 般若時(はんにゃじ) 第五時 法華涅槃時(ほっけねはんじ) 華厳時は37日間、鹿苑時は12年、方等時は16年、般若時は14年と言います。(『一代聖教大意』)。そして、法華経は8年、入滅のときに説いた遺言の教が『涅槃経』で、一日一夜となります。 最初に華厳経を説いたのは菩薩に対してでした。難しくて分からなかったのはそのためで、一般の人に分かりやすく説いたのが鹿苑時の阿含経になります。そうして、釈尊の教が進み、聴聞する者の知識が深まりますと、本当に説きたかった真実の教を法華経に説いたのです。 ですから、法華経は釈尊の真実・随自意の教と言い、法華経以前に説いた経を方便・隋他意の教と言います。釈尊の心のままに説いたので隋自意見と言うことです・ 華厳経から華厳宗、阿含経から倶舎宗・成実宗・律宗、方等経から法相宗・禅宗・浄土宗・真言宗、般若経から三論宗、そして法華経から天台宗・日蓮宗が宗派を立てます。(詳しくは128の『一代五時図』をみてください)。 教 八宗 十宗 南都(奈良) 律宗 法相宗 華厳宗 倶舎宗 成実宗 三論宗 平安 天台宗 真言宗 鎌倉 浄土宗 禅宗 南都仏教は日本に最初に仏教が伝来した奈良時代の宗派のことで8宗ありました。その後、平安時代に天台宗と真言宗が加わり10宗となり、奈良仏教は学習のための教として残りますが宗派としての力は失せてしまいます。 各宗派の教の特長は難しいですが次のようになります。 天台宗 五時八教判 華厳宗 五教判 真言宗 顕密二教判 (十住心・理同事勝) 浄土宗 機教相応判 禅宗 教外別伝 これらは、一代五時の教を基本として各宗派の教義を説いていることが分かります。ですから、{教}というのは、さまざまな教があるということがお分かりになることと思います。前回に五網の意義にて述べましたように、仏教はほかに、機根・時代・国・適切な説き方が必要とされます。 機 人々の能力 時 時代により教えに違いがある 国 それぞれの国により違いがある 序 その国にこれまでにあった教えを知り、これからはどのような教えが必要かを判断する |
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