51.妙荘厳王品 あい難き仏

雲雷音宿王華仏の時代に、妙荘厳王とその婦人の浄徳夫人がおり、浄蔵と浄眼の二人の子供がいました。浄徳夫人と二人の子供は仏教に帰依していましたが、妙荘厳王は深く外道に傾倒していました。

二人の子供は雲雷音宿王華仏が『法華経』を説くことを聞き、この仏のもとで修行させてもらうことを母に願いでます。母は外道に執着している父の妙荘厳王を改心させ、ともに仏のもとで法を聞くことを懇願します。そこで、なんとかして父の妙荘厳王にも『法華経』を聴聞してもらおうと思い、さまざまな神通を見せてついに父は感服し、誰についてそれだけの神力を得ることができたのかを問います。二人の子供は仏のもとで修行したことを教え、仏教に信心を起こした父と共に仏のもとに行き『法華経』を聴聞することができたのです。そして、父と母と二人の子供も出家して悟りを得ることができます。

このときの妙荘厳王とは今の華徳菩薩であり、浄徳夫人は荘厳相菩薩であり、二人の子供は薬王と薬上菩薩であることを明かします。そして、この妙荘厳王品を聞いた8万4千の人々が法眼浄といい、諸法の縁起を知る智慧の力を得ることができたと説いています。

この妙荘厳王品には、仏には会いがたいこと、『法華経』の教えを聞くことも、優曇華の花が3千年に一度咲くそのときに遭遇することや、一眼の亀の浮き木にあうことのように難しいことを説いています。日蓮聖人は『松野殿御書』(弘安2年3月)にこの喩えを引いています。

また、『法華経』を信仰することは父子の区別や主従の関係を除いて導くことこそが「」大事であることを示しています。これを善智識といいます。