53.普賢菩薩勧発品

薬王品から妙音品・観音品・陀羅尼品・妙荘厳品までの5品は、化他といって他人のために励む仏道の修行のあり方が説かれており、また、『法華経』を修行する者の功徳と守護などについて説かれていました。
 この勧発品は自行といいまして、私達がどのように修行するかを説いています。そして、この観発品の主人公である普賢菩薩も、『法華経』を修行する者を守護することが説かれています。
 普賢菩薩は娑婆世界で釈尊が『法華経』を説いていることを聞き、東方にある宝威徳上王仏の国土から神通力をもって娑婆に来られます。そして、『法華経』の教えを聞かせていただきたいと願います。
 そこで釈尊が要約して「四法成就」という教えを説かれました。「四法成就」(『開結』588頁)といいますのは、1.諸仏に護念せられ、2.もろもろの徳本を植え、3.正定聚といって仏になるための決意をし、4.一切衆生を救済する心をおこす、ということです。この四法を心がけて修行すれば、釈尊の滅後においても『法華経』を得ることができると説かれました。(再演法華)

  三業受持

   1.身  ― 本門戒壇  ― 一心受持 
   2.意  ― 本門本尊  ― 教主釈尊
   3.口  ― 本門題目  ― 仏智妙法
   4.誓願  
                               (『宗義大綱読本』15頁)
 普賢菩薩はこの教えを聞き、「後五百歳」である末法悪世に『法華経』を修行する者がいれば、その修行者の所念に応じて六牙の白象に乗って修行者の前に姿を現し「示教利喜」すると誓い、そのために呪文を示しました。
 そして、この勧発品が説き終わりますと全ての聴衆は歓喜し、仏語を固く信じ受持し、深く敬い礼をなして霊鷲山を去っていきます。このようにして『法華経』の説法の会座が終わったことが説かれています。