10.尼さんのインド旅行記(5)

 ラジギールをラジャグリーハとも言い、ビバール州バトナ地方の岩山に囲まれた盆地にあって、今は寒村となっていますが、往時はマカダ国の首都として栄へ、釈尊がしばしば滞在して教化に努められた所の竹林精舎の跡が残っています。
 また、釈尊とほぼ同時代にジャイナ教の栄えた地でもあるので、その寺院や彫刻の遺跡が見られた昔の街の中心あたりに、マニャルマタと呼ぶ円筒型の煉瓦造りの寺院があります。
 式典後、ラジギール市内見物し、インドの温泉場を見ることができ、入浴と洗濯を同時にしており、洗濯は男の人が多くしております。インド人はお風呂に入るのに皆下着をつけて入るので、日本では考えられないことです。
 昼食後、ナーランダ大学の遺跡を見物に行きましたが、どこへ行っても乞食が多く、旦那下さい(ブブーババー)、旦那おめぐみ下さい(ブブミーババー)と寄って来るのには驚きます。
 高橋先生の説明によりますと、この大学はグプタ王朝時代の仏教大学で、唯識哲学の発生の地であり、インドの仏教はこのナーランダ大学時代で終わってしまうそうです。
 このナーランダ大学は長さ七マイル、横四マイルもあり、昔で九階建てであって、スーパーマーケットもあって一つの町になっていたそうです。
 バラモン教の僧も入学していたそうですが、七〜八世紀頃から廃墟になったそうです。それから中国が発展し、中国がさびれると、日本が発展してくるというようになってきました。
 宿舎は昨日と同じ所で、電気もときどき消えたり、シャワーの水も出なくて困ったり、また、シャワーを使っていると後の人は顔もトイレも行けず、とても不便でした。ここでも又、日本が恋しくなるのです。
 18日。朝、今日はこのラジギールをバスでパトナ、パトナより国内航空でベナレスとなっております。七時、ラジギール行き。パトナへ行く途中で竹林精舎(経典結集のところ)に寄る。
 インドではあまり竹など見当たらないが、この竹林精舎には竹がある。その竹もあの大きな内地にある竹でもなし。又、北海道のタケノコを取る竹でもなし、私達が花畑に植える竹で、とてもお上品です。
 竹林精舎を出てバスでパトナまでの道々で、ドルダの女神を川で洗うところを見たり、お祭りがあったりで、退屈なくパトナへ着き、空港でベナレスへ着き、ベナレス第一ホテル「クラークス」に泊る。