18.尼さんのインド旅行記

 (二十三日)、ラクノウは人口66万の大きな市で回教系の王宮や寺院などが多く、ラクノウの博物館にはグブタ期の仏像がたくさんある回教でエマンバラ寺院が一番大きく、1636年に出来上り五十年間かかる寺院を建てた王様はアシコトラ王という。この王様は建物(寺院)をたてては壊し、又建てさせる、建てては壊し建てては壊しして、人夫にお金を上げて助けていたそうです。
 ここで動物園にも行きましたが、動物が少なく札幌の動物園の方がよい、ただ印度だなぁ・・・・・と思ったのは、白いタイガーが自分の尾を根元まで喰べて瀕死の状態でいたことでした。自分が自分の尾をたべる、ちょっと考へられない事でした。
 長かったバス旅行と別れラクノウより飛行機で首都デリーに向う。デリーの一流ホテル、アクーに泊り、夜インドの魅力的な踊りを見物しましたがインドの唄はどれを聞いても哀愁的で淋しい唄ばかりですが、踊り子はホリの深い代表的インド美人でとてもきれいでした。
 (二十四日)アクバーホテルを早朝バスでアグラに向う。このアグラは世界的に有名なタジマハールのある町で、このタジマハールは世界最大の大理石の建物で、シャジャハン帝が愛妃ムムタズ・マハルの死をいたんで建てた大霊廟です。完成に22年を要したとの事で245フィートの高さで一日2万人の人夫が集められたそうです。シンメトリカルな完璧な美しさはともかく、建物全体をうづめる彫刻の美しさは遠景以上のものです。ペルシャ風の浮彫の外壁と宝石を散りばめた内壁は偉大な愛の物語にふさわしく優雅で豪華です。中央の大ドームには大理石の二重スクリーンを通して光が入りその真下に帝と妃の棺が並んで収められていますが、お棺もあまりも豪華に出来ていますのでかへって身の毛がよだつ思いでした。
 このタジマハール大霊廟の他にも、ガール帝国の統一をなしとげたアクバル帝の建てたアグラフォート、そして、アグラの町から約40キロのところにファテプール・シタリ(勝利の都)があります。これもアクバル帝が建てたものですが、水の便が悪かったために50年程で廃都となったそうです。