6.尼さんのインド旅行記(1)

 昭和47年10月14日。土曜日。特別室A。集合時間及び場所、東京国際空港ビル内。
 いよいよインド行き。身の引き締まる思いで羽田へ行く。東京発12時45分。香港ーバンコックーカルカッタ。カルカッタ着19時40分。主催の太陽社ではこの様になって居ります。
 空は青空、とても良い天気。機内には、スチワーデスが席にみちびいてくれる。日本女性1人、インド女性3人、男性2人で、お客は日本山の僧侶大勢と、アメリカ人、インド人と私達一行90名。いよいよ羽田の地とはなれ、第一回目に見えたのは、日本の富士山でした。
 富士山を見た時、何かしら、これが日本の見をさめのような気がして変な気持ち。
 富士山はきれいに全身を見せているが、私の気持ちは妙覚寺にいる。
 香港まで4時間近く乗る。心細い。
 台湾の上空にさしかかると気流がはげしく、機は上下左右にゆれる。時計を見ると2じ15分。このゆれている中に、食事がでる。4時間半。香港の町々が見えて来た。
 「キレイダネ」と隣の人と見る。一言、日本の国で言えば、九州の天草のようにたくさんの島々があり、東北で言えば仙台の松島大きくしたようです。
 4時15分香港着。ここで日本時間を、香港時間にする。香港で1時間の休みでしたが50分くらいで出発。2時15分発。香港はヨゴレタ建物ながら10階、20階が多く。1・3・5という建物は一つもない。
 飛行機も日本の上空と違い、上下がすごく早く、エレベーターに乗って居るような気がする。
 香港を発って1時間半。おだやかです。3時半、雲の間より光が出る。虹かと思ってしばらく見ていたが、そうでもないよう。隣の人に見てもらおうと思って、話をしたところ、隣の人が見ない中に消えてしまう。(つづく)
昭和47年12月30日『妙声』24号