102.新年を迎えるご幣束の力        高橋俊隆
 新年を迎える御幣束

 日本人は清らかな気持ちで新年を迎えたいという気質があります。年が明ける前に仕事の段取りをし、大掃除をして身の回りを綺麗にして新年を迎えます。除夜の鐘をつきに行く人や、神社に詣でたりします。

 大掃除をすませてから家の各場所に御幣束をお飾りします。お餅のお供えに輪注連縄(わじめ)に二十八宿という御幣束を重ねて飾ります。仏壇にもお餅を供えて御幣束を飾ります。

 この二十八宿という御幣束を玄関や居間、トイレ、台所などに飾ります。これは1年間使用してきたことに感謝することであり、年内に災厄をこの御幣束に吸い取ってもらう意義があります。たとえばコーヒーなどがテーブルの上にこぼれたとして、そのコーヒーを吸い取ってくれるのが御幣束で、このコーヒーとは災厄のことです。御幣束は依り代としての大切な力をもっています。とうぜん法華経のお経によるご祈祷をしていますのでお経の効力が発揮されるのです。

 私の子供のころには自家用車にもしめ縄・正月飾りをして走っていました。ここには新しい年を事故がないように過ごしたいという気持ちと、1年間乗ってきた車への感謝とねぎらいがあります。最近は見られなくなりましたが、車の外の全面のフロントグリルのデザインが、しめ縄を飾りにくいためとも言います。私のところでは車内に二十八の輪しめを飾っています。

 紙は神に通じますが紙は貴重品であったことを忘れてはなりません。松飾りも福徳を招く意味があります。松の内が17日までの地域(関東地方が多い)は、111日が鏡開きの日となり、松の内が115日までの地域(関西地方が多い)は、115日が、鏡開きになります

 海外に出かける方も1年の感謝を込めて大掃除をされ、清らかな心になって御幣束をお飾りしてから家に手を合わせてから出かけて頂きたいですね。