107.新年のご幣束     高橋俊隆

 新しく年が変わるときには大掃除をして家や会社、車庫や身の回りを綺麗にして新年を迎えます。重ね餅を飾り居間や玄関・トイレなどに御幣束を祀って今年一年の感謝の気持ちを表します。とても快い祭祀です。  

 農業や漁業、運送業や職人さんたちは、農機具や船舶、道具にアリガトウという感謝の気持ちをお供物や御幣束に託します。御幣束は真っ白い紙ですので清浄な清潔感を感じます。その御幣束は目に見える汚れを拭き取ることができます。水に侵せばなおさら汚れを吸い取ります。そのように目に見えない邪悪なもの災害などを吸収する力があります。ただし、お経の力が入っている御幣束の力です。

ひな祭りのときに流し雛をするのは、本来は身体の病や業的な汚れや罪悪感を紙で造った人型を体にあてて拭き取ることが大事な行いです。その拭き取った人型を川や海に流すのが本来の祭祀です。

 もう一つ大事なのはしめ縄です。しめ縄は神が入って来る入り口であり、輪にした輪じめは正に聖域となり神の住居となります。これを結界とも言い不純なものを避けると同時に邪悪なものを取り込む力もあります。しめ縄を燃やしても元の形を留めていますね。邪悪なものを囲んで離さないのです。

 そいう力があることを知って頂きたいと思います。単なる風習ではないことと私たちの先祖が行ってきたその風習の本来の意味と尊さを探ってみると、神秘的ではあるけれど現実的な大切さを知ることができ、これからの人生におおきな意義を持つと思います。