12.よく聞くお戒名料について

 戒名は必要なのか。
 亡くなった故人が戒名をもらって喜ぶとしたら戒名は必要と言えます。
 死んだ人間にそれがわかるわけがないと考えるなら、そこが一番の問題なのです。
 私は死んでも魂が残ると見ています。亡くなって四十九日までは私達の側にいて好きな所を往来していると思っています。
 仏壇やお位牌が死者の世界との出会いの場と思っています。よく長男や先祖を守っていくものだけが仏壇をもち親の位牌を持てばいいと思っていますがそれはまちがいです。子供は全員、親の位牌を持ち仏壇を持つべきです。そして自分もいずれその仏壇の中に入るのですから、仏事を子供に教えておかなければなりません。
 親を粗末にしていると自分も子供に粗末にされる、と言います。
 お墓に行きますとお塔婆が建っています。亡くなった方の年忌に家族や親戚、友人がお建てになります。霊にとってはそのお戒名が自分を示すものであると思います。ある意味では財産のようなものだと思います。
 霊は自分の戒名を認識していると私は確信しています。
 私のお寺では戒名料を頂いていません。以前は目安としての戒名料はありましたが今は全てを含んでの葬儀のお布施として頂いています。金額により内容が変わるということもありません。葬儀は亡くなった人にお経を上げ死の知らせと苦痛や不安を取り除くためのものです。
 死者との対面をしているのです。葬式の規模に関係なく僧侶はひたすら死者と対面して浄土へ引導するのです。
 戒名はその方の信仰や社会の地位、性格、家族愛などを考慮して授けます。
 特に信仰が重要です。
 戒名料は信仰が篤くお寺に寄付などの貢献や世話人などをされている方は無料と言っても良いと思います。
 お寺に多大な貢献をされている方からは本来、戒名料は頂かなければいいと思います。しかし、そういう人は死んでもお寺に寄付をして欲しいと遺言されていることが多いのも事実です。
 信仰が篤くお寺に貢献があれば当然、良い戒名が授けられます。
 では何も貢献のない人にはどうでしょう。
 それでも世間体があるのでいい戒名をと頼まれたなら、死者に代わって遺族がその貢献をしなければならないでしょう。それが戒名料の始まりだと思います。
 死者のためにお寺の仏具や住職の衣などを揃えて欲しい、その仏事の功徳によって良いお戒名を授けて下さい、ということであると私は思います。
 お戒名料が高いという前にお寺にもそういう事情があるわけです。
 今後、お戒名料は無くなっていくでしょう。
 お坊さんは真剣にお経を上げるのが一番です。
 葬儀も遺族の方々に納得していただけるようにしています。