25.徳のある人

 1年も経てば何事も古いことになる当世。
 1年前に起きた出来事も忘れ去られていく。
 歌にしてもすぐ懐メロになって、唄おうものならダサいと言われてしまう。

 「徳のある人」という言葉も聞かなくなった。
 徳を積むというのも死語、まして善根をうえるという言葉も。
 人様のためになる人になれと古人は言ったが、今はどうだろう。

 韓国のテレビ番組や映画が人気を博してる。
 男性俳優は物静かで理想的に優しそうだ。
 素晴らしいと思うのは家族愛である。
 親を尊敬する態度や言葉使いに過去の日本をみる。
 親は人生の先輩のみならず、祖先の教えを伝える尊厳を持っている。
 子は親を信頼して従う。
 それが基調になっているように思われる。

 しかし、善人と悪人がいて、そのどちらにも同情してしまう。
 その人間の描き方の良さが視聴率を高めたのだろう。
 驚いたのは、子供の名前を呼ぶのに姓と名を言ったことだ。
 日本で自分の子供に姓までつけて呼ぶ人はいないと思う。
 私達は家や祖先を知らな過ぎるのではないかと思う。
 日本人としての誇りが希薄化してしまったようだ。

 同時に人を大切にすることも失いかけているのでは。
 公園にはゴミを捨て放題。
 他人の迷惑を考えない。
 それをしない人が現代の「徳のある人」かもしれない。

 「隠れての功を積めば、あらわれての徳となる」
 日蓮聖人の言葉である。
 徳というのは功を積むことによって備わるのであろう。
 とすれば 誰でもが徳のある人になれる。
 小さなよい事をかげながらしていく。
 そうしたら花に蝶が集まるように、楽しい人生になりそうだ。