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箱根駅伝の復路でふらふらしながらも走りぬいた学生がいた。 誰もがガンバってと声援した。 中継のアナウンサーも思わず泣き声になり、となりでもガンバレと思わず叫んだ。 足の痙攣、脱水にならないように細心の注意をする。でもミスったのか。 そのミスを罵倒する者はいない。 同じ人間として声援する。 それは、タスキの重みなのか。 意識が朦朧とするなかで、足がとまった。倒れるか。 監督が抱きかかえるか、と思った瞬間、走り出した。 後輩に言った一言は、「タスキを渡してくれ」。だった。 責任感。それを行なうのは気力だと思う。 つまり、精神力である。 日蓮宗では、(けりき)と読む。 体力の限界を超えてガンバルのは気力にかかってくる。 へたばりそうになるとケリキが足りないと先輩に活をいれられる。 風邪をひくとケリキが足りないからだと言われる。 日蓮宗には百日の荒行がある。 毎年、11月1日から2月10日まで千葉県の中山、法華経寺で行なわれている。 朝は2時半起床。就寝は夜12時を過ぎる。 一日七回の水行。ほかは読経、祈祷相伝。掃除雑用。 35日を過ぎると、一般の人に祈祷が始まる。 想定外の厳しい修行である。 やさしくされるよりは厳しいほうがいい。 多くの先輩のなかで、思い出されるのは厳しかった人である。 いじめではなく訓育なのだ。 その辛さのなかに強靭な精神力を養ってくれたのだ。 なぜ、修行は厳しくするのか。 それは、坊さんは仏教の教えを伝えるというタスキを持っているからだ。 それを教えず、学ぼうとしないから批判されるのだ。 正月の駅伝をみて再認識させられた。 人は一生懸命に涙す。 そして、みんなが感動した。 されば、坊さんが不惜身命の姿になれば、合掌して下さることを。 |
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