32.金メダルと国旗

 トリノ五輪で荒川さんが金メダル。振るわないなかでの嬉しいことであった。表彰台で国旗が掲げられた。白地に赤丸の日本国旗である。君が代の国歌が会場に響いた。荒川さんがアップになった。口元が動いている。驚いた。君が代を口ずさんでいる。私は金メダルを獲得したこと以上に嬉しく思った。
 国旗には過去の軍事国家を思い出す苦い世代がおられる。戦争を知らない世代が国旗や君が代を忌避している人もおられる。
 私は卒業式に君が代を歌い、仰げば尊しわが師の恩を歌った世代である。今は先生も斉唱しなくなった。なにか寂しさを感じる。今は誰も好んで戦争はしないであろう。世界のなかの日本を表わすのは国旗が大事である。しかし、日本人の誇りも、これらと共に消え薄れていくのであろうか。
 日本国籍を取得したサッカー選手が君が代を斉唱して、純粋な日本人が口を閉じているワールドカップを見たくない。荒川さんが口ずさんだ姿に平和国家としての純粋な日本人を諸外国の人は見たことであろう。

 皆さんにお尋ねします。
 貴方の家の宗派はなんですか。
 貴方の先祖の家系図がありますか。
 貴方の家の家紋はわかりますか。
 はっきりと答えられる方は少ないと思います。
 特に家系図はないと思う。家紋は墓石に彫られていたり、女性は羽織紋付などで目にするだろうが、多くの場合気にしないようになった。戦国時代には敵味方の関係であるからこの結婚は許されんという親戚がいたら困るであろう。また、都市圏では核家族で親戚との付き合いも緩んできている。少子化も拍車をかけている。

 もうひとつ、国家の象徴であられる天皇の女系について、貴方はどうお考えになりますか。9月に紀子さまのご出産予定。それによってまた論議がかわる。歴史のように男系を求めて数代まで遡るべきか。男性から男性に伝わる遺伝子を尊ぶべきか。女系になっても長子を優先すべきか。
 相撲の土俵は山の神、つまり女性神を象徴しているという説がある。男女平等というにも日本人古来の考え方も必要に思える。愛子さまはお相撲がお好きとのこと。力士の下の名前まで覚えておられて、浩宮さまもかなわないとのこと。微笑ましいことである。
 京都好きの家内が御所の散策をして「天皇さまがこの御所に帰られたら、京都の人は喜ばれるだろうね」と言う。平安の昔から都は天皇のお住まいなのか。京の歴史からすれば戻られる日が近いのかもしれない。余談であるが私は天皇陵を解明してほしいと思っている。しかしそれは歴史の事実を知ることである。過去に戻ることではない。今は未来を考えるときであるから。