51.頼れるもの

 ある人が病気になって入院したとき、健康が一番だと言った。
 名声や財産などより、命が大事だと気が付いたからだ。
 ある人は、お金が一番だと言った。
 お金があれば病気になっても治療して長生きできるからだという。
 健康が一番と言った人には、お見舞いの人が絶えなかった。
 お金が一番と言った人は、テレビを見ていても寂しそうだった。

 最愛の妻。最愛の夫。最愛の子供。
 失うと胸のなかに風穴が開くという。
 子供がいない人の夫が急死した。
 どれほどの悲しみか、はかりしれない。
 一人きりの孤独のなかに生きていく。

 楽しい。うれしい。幸せ。
 ということばかりではない。
 それは苦しみのもとになるからだ。
 しかし、苦しみがあってこそ、楽しさを感じる。
 楽は苦の因。苦は楽の因ということ。
 苦楽を乗り越えて、本当の幸せを考えることが大事。

 夫・妻・子供・友人。心を許せる人がいるといい。
 信仰をしていて良かったと思うことは、
 亡くなった人が常に私の心にいて、
 同じ信仰をしている人たちと、
 いつまでも一緒に生きていけることだ。
 これが、信頼だと思うと有難くなる。