生きている証し

年々、喪中の知らせが多くなり寂しくなる。
亡くなった人の記憶がよみがえり、
自分の人生を振り返る。

死を目前にして、
生まれて良かった。
幸せな家族に恵まれた。
悔いのない人生だった。
生死即涅槃と考えて、
安心して死をむかえたのだろうかと、自己に重ねて問う。

生―老―病―死、は苦しみと仏教は説く。
長生きをしたいと誰でも思う
早死には犬死だという。長生きは迷惑だという。
自分が生きていた価値はなんだろうか。

葬儀の場で、
家族や親戚友人が別れを惜しみ、
ありがとうと涙を流す。
慕われていると感じる。
それはなぜなのだろう、
人を大切にして生きてきた。
だから心にいつまでも悲しみが残るのだ。

私達から見て、
それこそが生きていた証しであり、
涅槃寂静の世界ではなかろうか。