57.木の中の花
北海道の冬は積雪があり、寒さが厳しい。
この冬を耐えしのぶのが、雪国に住む者の強さという。
東京にいたとき、友人が、冬の北海道で雪のなかでキャンプをしたいと言った
そくざに、なにを言ってると、なぜか怒ってしまった。
後日、友人が凍死するほど寒いとは知らなかったと笑っていた。
最近、一戸建ての住まいから、マンションに移る人が増えた。
原因は雪かきにある。
老人になってくると、雪かきは大仕事なのである。
人口の減少もあり、過疎化が進むなか、札幌は人口増とのこと。
しかし、人口が少なくなることは寂しいことだ。
長い冬を越え、春の風を受け、ひさしぶりに土を見るのはうれしい。
東京の冬は閑散として、草が多少、色あせる程度だった。
緑の芽をだす雑草にさえ、喜びを感じる。
固い氷の下から、生まれ出た生命。
これから、つぎつぎと新しい生命が姿を見せ始める。
秋に枯れた木々から新芽がでる。
葉が落ちて、生きているとは思えない木が生き返る。
そして、花を身につける。
私たちも負けていられない。
自己のなかにある可能性を引き出すときだ。
自己の中の花を咲かすときだ。
誰でもが持っている花。
釈尊はこれを仏性といった。
枯れたような木の中にある花のような存在。
皆と喜びあえる花を咲かせたい。