76.「四苦」(しく)を知ることから

信仰をする人にもそれぞれ理由があります。
なかでも、祖父母や父母の信仰を当たり前として受け継いでいる人が、一番多いように思います。ですから、お宅の宗派は何ですかと言われると、あわてて実家に電話して、あぁ家は日蓮宗だったのかと知ります。仏教の教えはほとんど知らないのが現状と言えます。

 仏教の基本は、

生について

老について

病について

死について

の四つを説いています。これは四苦八苦の「四苦」と言います。私たちが生活することは「苦しみ」であると知ることから始まります。なぜ、人生は「苦しみ」なのか。では、どうしたら、それを「楽しみ」にかえることができるのか、を説いていると言えます。

「生について」というのは、生まれて来たこと、そして、生きて行くことを学びます。人間はやがて老人となり、病気に罹り、死を迎えます。これは、普遍の事実です。誰もが同じことです。老いることがイヤ、いつまでも若く壮健にいたいと思います。でも、確実に老いて行きます。死も同じです。死にたくないと思います。ですから、釈尊は人生は「苦しみ」であると説きました。

しかし、釈尊は自分の人生は「楽しかった」と言って亡くなります。次のような言葉があります。

「苦は楽の因、楽は苦の因」。つまり、苦楽は同じものと知ることが、仏教の教えになっていきます。どうやって、苦を楽にしていくのでしょうか。ここに、信仰の有り難さがあります。仏教の教えがあるのです。