84. また会える                     高橋俊隆

北国は冬に近づくと、何かと忙しくなります。寒さに弱い花は室内に入れます。しばれない程度の温度のところに置きます。外の庭木は冬囲いをします。雪が降り積もると、その重みで枝が折れるからです。窓にも板をさしかけて、氷が落ちて割れないようにします。  

心の準備も必要です。根雪になると、気も引き締まります。まずは新年を迎え、節分をむかえ、春の彼岸までと、春をまちのぞみながら越冬するのです。まわりは雪の山です。降雪があれば雪かきをします。

 山々の木々は紅葉のきれいな姿をみせて散っていきます。庭の植木もだいぶ葉が落ちました。また来年まで、しばしの別れだねと話しかけます。ふと、同じことを言っていることに気づきました。納骨堂のお骨箱に入った人たちに、毎日、思い続けていたことでした。

 死んだら会えない、生きているときは話ができます。生活の姿が見えます。しかし、死んだらお骨になってしまいます。ご飯をあげてもお茶をあげても、少なくなっていないので、食べてない、飲んでない、いないと思ってしまうことと思います。そこが違うところです。死んでも、ちゃんと食べて飲んでいます。話かけてきます。私たちが分からないだけなのです。

 心をやさしくして、そっとお題目を唱えてください。きっと、答えてくださいます。また会えます。来世にも楽しい思い出がつくれます。春になると梅の花が咲き、桜が咲くように、また見ることができます。