91.生きているうちに                   高橋俊隆

かつては理想の男性は3高といわれました。高学歴・高収入・高身長。それに、長男ではないが加えられていました。今は3平とか、4低とされてきたようです。3平は平均的な年収。平凡な外見。平穏な性格とのこと。とても歓迎されているようです。4低とは低姿勢。低依存。低リスク。低燃費といいます。リスクはギャンブルやリストラ、浮気をしない男性をいうようです。

日本が高成長期のときは、なんでも上向きに捉え、それは外見や見栄の張り合いになったと分析されています。バブルを経験した者は信じられないくらいお金をばらまきました。それが崩壊したときに奢れる者は地盤から崩れたのです。普通に生活をしていた者にも、その影響があり、社会不安、人間不信に堕ちてしまいました。

現在はちょうど良くなったように見えますが、その弊害も見えています。それは、向上心を持たなくなったことです。なんとか毎日を普通に楽しく過ごせれば良いと思っています。直近的なことに目的をもっています。何十年先のことと言えば、老後の生活のことです。不要な物は早いうちに処分して子供に心配をかけないようにとします。

医学や工学、化学などの分野には秀才がガンバっています。しかし、優秀な人たちは海外に流出しています。日本よりも待遇がよく学問、研究ができるからです。手工業などのような分野には進出しないそうです。技術を習得するまで十年以上かかるからです。それだけ苦労しても、はたしてどうなんだろうと考えます。失敗や挫折を恐れるのです。そんなことに労力を費やすことを忌避するのです。これが、若い人の智慧ある行動らしいです。

 しかし、医学の進歩などに、地道に努力している人がいることを知ります。人知れずに貢献された人こそが尊く思います。神仏はそのような人の努力を見ていて下さります。そして、守って下さるものです。生きている意義をもう一度、考えてみましょう。