92.石の上にも3年                 高橋俊隆

 「石の上にも3年」というのは、本来は仏道の修行を励ます言葉です。つらくても、耐えて修行を積めば必ず成果があるということです。

 私もそのような心構えで来ましたが、最近は言われなくなった気がします。冷たい石の上でも長い間、座っていると石が暖まる。だから、ガンバッテということですが、ガマンをすることが良い結果を出すのか?   目的によっては、ガマンをせずに別な方向に変更したほうがよいこともあります。

 その目的が大事と思います。一歩ずつ進めば、いつかはたどり着くことができること。受験とか就職は自分の能力の限界に気づきます。スポーツでも努力しても記録に届かないことが多いですね。

 だからといって、あきらめるのはどうでしょう。自分で納得できることが大事と思います。努力すれば必ず実現できることも、たくさんあるのでは。

 私は50年も勉強して、本を出版することができました。本を出版するのは夢と思ってきましたので、地道に積み重ねてきたことに、良かったと思っています。仏道ははてしないことですが、今のこの時に未来もあります。はてしない未来を予想しなくても、現在の自分を大事にして生きていくことに喜びがあります。

 その喜びをともにできる人がいることが、最上の幸せかもしれません。