97. 同じ地球に生きている             高橋俊隆

 地球も生命体。人間のいかなる力でも勝利できない、自然の現象をまざまざと知らされることが続いています。それらの多くは人間が招いたことと思います。メチル水銀やカドミウムによる水質汚染、硫黄酸化物による大気汚染、そこから手足のふるえや呼吸器の病気が発生しました。原子力発電は放射性物質である核廃棄物を作ります。事故がおきると毒性が強いので環境に被害をおよぼし、現在では地球規模に達しています。温暖化による台風の被害はますます強まっています。

 原子力などの利点もあり、その恩恵で快適な生活を送っているのも事実です。その便利なことに慣れ、知らないうちに快適な方向を求めてしまいました。ダメなことが分かっていても抑制できないのは、やはり「欲」ではないでしょうか。

 オレオレ詐欺にキャッシュカード詐欺、警察や弁護士と名乗られれば、つい信用してしまいます。だまされないように、合い言葉を決めていても、いざとなれば動転してしまいます。被害件数が増加しているといいます。

 他人をだまして罪悪感がない。相手を悲しませても平気な人がいることに耐えがたいものがあります。罪の意識、それ以前の人間性に欠陥があるからです。釈尊は時代が経過するほどに、そういう邪知の人が多くなると説いています。そのために仏教は他人への慈悲を説いています。相手を思いやる心に幸せを感じることを教えています。その心は菩薩の生き方になります。

 人類は同じ地球に生きて生活をしています。家族があり、毎日毎日、楽しい生活を営む努力をしています。信頼しあえる幸せを知っています。人を信じて皆が協力しなければ安心できる社会はできません。国と国との争いに私たちは何の力もありませんが、皆が集まれば大きな力となります。自分の身の回りの人たちから、その心をもって接していくことはできます。一番、大事なことと思います。
合掌

 法華経
  我は為れ世尊なり 能く及ぶ者なし
  衆生を安穏ならしめんが 故に世に現じて
  大衆の為に 甘露の浄法を説く
  其の法一味にして 解脱涅槃なり