101.今できること

 東北大震災において物故された霊の四十九日忌法要を行ないました。その日は日蓮聖人が立教開宗をされた四月二十八日でした。

 津波にさらわれて行方不明になっている方がたくさんおられます。この事実を受け入れることは悲しいことです。四十九日法要に反感を持つ人の気持ちを考えると複雑ですが、身元不明のまま土葬された霊を慰めることも必要でした。

 遺体の上に白いもやっとしたかたまりが、ゆらゆらしているのを大勢の人が見たといいます。硬直した遺体に南無妙法蓮華経と唱えさすってあげると、体がやわらかくなったといいます。

 救援物資、義捐金、ボランティア活動が行なわれています。原発事故の被害は人類に及ぼすものです。終息する予測すらできない状況です。被災者の生活はどうなるのでしょうか。

 私たちが期待するのは政府の力強い支援です。しかし、その言葉すら聞こえない状況です。聞こえるのは復興のための課税と値上げです。経済が疲弊し、被災者の就労さえ困っているときに、なぜか、庶民の感覚としては重く感じます。

 日蓮聖人は『立正安国論』に正しい信仰をしなければ国が滅ぶとのべています。これは釈尊が説いた仏教のなかに説かれたことを代弁されたものです。そして、これを現実のこととして受容されたのです。その正しい信仰とは法華経であり、南無妙法蓮華経のお題目を唱えることとのべています。

 日蓮宗の私たちは朝夕にお題目をお唱えすることが大切です。日蓮宗の寺院は寺を被災者に提供しています。また、ボランティア活動も現地において行われています。まず、お題目をお唱えすることは、いますぐにできることですので、異体同心になって励みましょう。