116.初行会にて

 先日、久しぶりに、荒行堂の初行会がありました。初行を終えて31年になります。集まったのは江別の法華寺宇賀神上人、東川妙正寺関上人、枝幸妙遠寺香川上人、余市法華寺政智上人と私の5人です。皆が布教師会長や幹事をされ、宗門において活躍されています。わずか100日間の荒行堂での修行仲間なのですが、31年を経ても強い絆を感じました。昔から、「同じ釜の飯を食う」者とは親しい関係が生じるといいます。起居をともにし、とくに、初行は心身の限界まで厳しく指導されます。辛いことを忍ぶのが修行で、自分の限界まで耐えていく気力を養うものです。それを見ているのはお祖師さまです。なによりも、お祖師さまを裏切ることをしてはいけません。資格を取るためだけの安易な考えで、はたして、ご祈祷をして人々を救うということができるのでしょうか。私の師匠は、そういう根本的な資質を教育された方でした。

 関上人から『戦後史の正体』という一冊の本をいただきました。外務省の国際情報局長をされた孫崎享さんが書かれたものです。戦後から今日にいたるまでの、アメリカ政府が日本の政治に介入してきた経緯を綴った本です。この本を読むかぎりでは、日本は未来もアメリカの言いなりにならなければならない、また、そういう仕組みをアメリカはしており、日本の内部はそれに従っているという仕組みを知ります。

 55代の首相を務めた石橋湛山氏は、日蓮宗の信徒で立正大学の学長をされた方です。日蓮宗僧侶杉田湛誓章上人と、ときさん夫妻の長男として生まれました。敗戦直後に日本の自主派としてアメリカに働きかけた人物と評されています。湛山氏の枕元には常に日蓮聖人の御遺文が置かれていました。日蓮聖人の教を学び、それを実行する人物を養育する必要を感じました。