129.日延大法尼の教えを守る        高橋俊隆

今年は東日教上人の43回忌と、昨年は小入羽日才上人の13回忌を迎えました。東日教上人のゆかりの地である余市にご報恩の石碑を建立しました。小入羽日才上人を偲び納骨堂に登高座を納めました。今年は日延大法尼の27回忌を迎えます。報恩感謝の誠意を表して、納骨堂に念願の「一尊四菩薩」の木像を安置致します。お会式の日には奉安されていますので、是非、お参り下さい。

27回忌を迎えることは、私が住職に就いてから26年になります。この間、私にとりましては艱難辛苦の連続でした。しかし、日延大法尼が私に「学者坊さんになるのか、法華経の行者になるのか」と問われ、私は法華経の行者の道を選んだのですから、三障四魔という魔障が私を責めるのは当然のことと思わなければなりません。むしろ、日蓮聖人は三障四魔が紛然と競い起きなければ、法華経の行者とは思うな、と訓誡されています。この言葉は正しく仏道を歩んでいるという確証になりました。

現在の妙覚寺を見ますと境内も3倍程になりました。納骨堂・庫裏・入口駐車場や、境内整備も充実しました。何よりもお祖師さまにご給仕し、お祖師さまに威光が増したことです。常に鏡を磨くように精進してきた賜と思っています。この陰徳により感応も増しました。

7月25日に東京の宗務院にて、宗務総長さまより日蓮宗勧学院の嗣学の学階を授与され、日蓮宗管長内野日ハ猊下より認証を受けてきました。昨年の暮れに日延大法尼のお姿を拝見し、東日教上人の石碑や日才上人の供養のために仏具を揃えたので、喜ばれているのかとも思いながらも、何があるのかと気を張っていたところ、勧学院の院長の渡邊宝陽名誉教授より学階を請求するようにとのお電話がありました。それまでは、何人かの方から勧学院を勧められましたが、お断りしていました。渡邊宝陽先生は宗費研究生のときに保証人になって下さった大恩のある方です。私の夢は大学に残り日蓮聖人の教学を学ぶことでした。博士課程に入り、日延大法尼に学者の道を歩みたいとお話ししたとき言われたのが、先の言葉でした。そのときの私の苦悩を一番よく知っているのは日延大法尼です。今回の学階授与は、そんな私へのせめての日延大法尼の心の表れと思っています。行者の道を選んでも、正しい修行の仕方や方向は日蓮聖人のご遺文を学ばなければ誤った所に行きます。行と学は鳥の両翼と同じです。目を瞑れば方向を見失い落ちるのと同じです。

皆様もご存じのように日延大法尼は厳しい師匠でした。私が来たときのお寺は平屋の粗末な家でした。日延大法尼もご苦労をされました。私は師匠の名に傷を着けないように、そして、川の水が絶えず流れる如くの信心に励んできました。若い頃は死ぬまで修行と思いましたが、今は来世に繋ぐ修行をし、東日教上人や日延大法尼のように、肉体がなくても自由に行動ができる力を身に着けたいと思っています。お祖師さまに認められることが、私の信条です。それを一番よく分かるのは皆様のご先祖です。    南無妙法蓮華経。