169.檀信徒の皆様へ  令和2年5月6日            高橋俊隆

 お寺はようやく梅の花も咲き、白ポプラの新芽が出てきたところです。毎日、テレビではコロナウイルスのことが報道されて、自宅待機をして感染を止めようと、皆が努力しています。

 鎌倉時代にも疫病が流行し、多数の犠牲者がいました。日蓮聖人が『立正安国論』を書いて、国主的な存在である北条時頼に政治のあり方を説いたのも、今のような疫病や飢饉などの災害があったからです。

 当時は衛生面で水や野菜、魚なども口にできなかったようです。このような疫病は飢饉による餓死した動物などの腐敗から発生したものも多く、牛や馬の亡骸が歩く道に捨てられていたと書いています。

 晩年の身延に入ってからも疫病が流行し、大勢の犠牲者がでました。そのなかでも日蓮聖人の信者さんは乗り切ることができたと述べています。

 命が大事か、お金が大事か,と問われますと、やはり、命が大事ではないでしょうか。命があれば生きて何かを始めることができるからです。

また、こういう時こそ、日蓮聖人が言われるように為政者の信頼が求められます。国民がいて税を納めるのですから、国民を大事にしないと、国は疲弊します。徳川の埋蔵金といいますが、本来はこのような災害に備えるための備蓄でした。お米もそうです。飢饉のときに国民に分け与えるために備蓄したのです。なによりも国民を大切にしなければなりません。そう思いませんか。

 仏教界をはじめ世界の宗教者はコロナウイルスの疫病消滅を祈っています。そして、食料の配給など、救いの手を差し伸べています。仏教は人を大切にすることを教えています。正しい教えを自分の身に代えても伝えることを説きます。皆がそのようにすれば、お互いに助け合うことができるからです。医療に従事されておられる医師や看護師さんなどに、命をかけて労働されていることに敬意を表します。

また、感染者の方が早く治療をうけて健康になられますことを祈っています。ご家族の方にもあたたかい支援をされますようお願いします。

 自宅待機で感じたことは、法華経の信仰をしていた悦びです。お経をたくさん読経できます。お題目もたくさんお唱えできます。信仰をしていることは、このように心身を有意義にできると、ありがたく手を合わせました。檀家の皆様の身体健全をお祈りできる喜びです。

 皆様もお祈り下さい。そして、お電話でも声を掛け合いましょう。
合掌