182.お盆参りにて                             高橋俊隆

合掌 
 猛暑のお盆のお参りでしたが、納骨堂のご先祖さまたちはたくさんのお供物とお経を頂いて悦ばれていたことと思います。なかにはお姿を見せて下さる霊もおります。たいがいは何かを伝えたいことがあります。こちらから尋ねることもあります。

今までで記憶に残っていることは、葬儀のときに「血脈」(けちみゃく)という曼荼羅にお戒名を書き入れた大事なご本尊を持たせてあげます。葬儀を終えて後にその血脈を胸に貼ってお寺の2階にあがり、納骨堂に行かれた霊のことです。血脈を大事にされていること、血脈にはそれほど大きな力があることを知りました。あらためて心を込めて筆を持つことを肝に命じました。

今年のお盆棚経に檀家さまの家にお参りしていて驚いたことは、亡くなった母親が子息の膝をさすっていたことです。膝の痛みを少しでも和らげたいという母親の姿を見て、日頃ご供養をされているとご先祖さまは守って下さるという師匠の言葉を思い出しました。普段は姿を見せなくても何かあるときは知らせに来られることがあります。それにはご供養を積み重ねていることが大切です。ご供養が亡くなった方の力となるからです。

納骨堂に納骨されお位牌を安置されている方々は、いつも師匠や檀家さんたちと仲良くされていることと思います。今年も大勢の方が納骨堂にお参りに来られました。いつまでも愛され慕われ忘れ得ぬ人なのでしょう。信仰の継承の原点を知るのです。やはり、祖父母とお孫さんの関係は強く感じます。祖父母といっしょに暮らした子供は優しいと言われることに共感します。お孫さんにお経を挙げ信仰の姿を見せて下さい。お寺にいっしょにお参りして下さい。

 お寺を大切にすることはお祖師さまの恩に報いることであり、ご先祖さまを大切にすることを教えて頂きたく思います。なによりも自分たちを大切にして下さることになります。咲いている花を折るような信仰は、いずれ自分のことが忘れ去られることもあります。
 納骨堂に忘れられぬ人たちばかりいて、私を励まして下さいます。有り難く思っています。