196. 楽しい人生に感謝            .       高橋俊隆

 自分の一生を振り返って「楽しい人生だった」と言いたいですね。

 その言葉を始めて聞いたとき、そのように、生きてきたことを幸せに思うのと、そのように生きて行くことの大切さを感じました。本当に楽しいことばかりだったとは思いません。ご長男を先に旅立たせて悲しみに耐えている姿も見ています。でも、ご本人は楽しい人生を送ったことを皆に感謝されているのです。きっと、一緒に悲しみ励まして手を繋いでいてくれた人がたくさんいたのでしょう。

 お寺の檀家さんどうしの繋がりも人生に大きな存在だったと思います。お寺の檀家さんはほとんど先代の日延大法尼のときに檀家となっており、信仰に導いた人を親のように思い、御本尊さまのお参りには必ず集まって小入羽日才上人のお話しや日延大法尼のお話をお聞きしていました。年に数度、御本尊祭に集まって食事をして雑談などもあり、親しくなっていきます。お寺の霊跡参拝も参加していることも、とても楽しいことでした。

 信仰の心の中には常にお祖師さまがおられます。お祖師さまに守られていることに大きな安心感があります。お祖師さまを守って行くことが生きている楽しみであり、死後の不安より、たとえば仕事を終えて家に帰るような安らぎの気持ちがあります。信仰は人間として正しい道を歩むことを教え、苦しいときも南無妙法蓮華経とお唱えして生きて行く力を授けて頂けることを実感しました。

 人に感謝して接することが大事なことを知ります。釈尊は自我掲に「常に私は人々が無上の教により幸せになれる無上の人生を送れるように祈っている」と言われた人生を歩みたいですね。皆と共に楽しく歩める、その智慧を説いたのが法華経と言えましょう。心のあり方を教えているからです。行うのは私たち自身です。

 すべてのことにお題目をお唱えしてお祖師さまに御給仕しましょう。


                              

  「常に自らこの念をなす、何をもってか衆生をして、無上道に入り、速やかに仏身を成就
  することを得せしめんと」 如来寿量品第十六 (『開結』431頁)