44.精竜の滝(6)

 昨年は尼さんの17回忌がありました。
 青年部が精竜の滝の道場と尼さんの随筆を、『妙声』に載せて下さいました。
 青年部の中にはお滝を知らない人や、20年も前のことですから記憶も薄れてしまいますので、「お滝マップ」は苦心して完成しました。時間に追われたために未熟なところがありますが、カラーの1枚をプリンターするのに3分とか5分かかるものがあります。ページと部数をかけると、かなりの日数を要しました。
 青年部の皆様には感謝申し上げます。また、尼さんも喜ばれておられると思います。若い人や尼さんを知らない方にとっては、今回の『妙声』は妙覚寺を認識することになりました。尼さんという方がおられ、檀家さんと共に妙覚寺を支えてきていること、そしてそれを受け継いでいこうという気持ちになられたと思います。

 信敬和会の役員さんも30代の若い人が3人。青年部・婦人部も若い人が中心になって活動されることになりました。尼さんは楽しみに私たちを見ておられると思います。

 「お滝マップ」を見ながら、ここでキノコを採ったとか、腐葉土を運んだとか、枯れ木を移動したとか、冬はこの辺にミカンをおいて、お参りに来る檀家さんに、「もうすこし、ガンバレ」と尼さんが雪の上に素手で書かれたとか、さまざまに思い起こしました。
 道場の前の橋をこえたところは、深い草原でした。そちらの方には私はあまり行ったことはありませんが、奥に行くと金山の跡があります。蕗を採りにいったところです。貯水の跡にはエゾサンショウウオがたくさんいました。
 ヤマイモを掘ったことがあります。1時間かけても最後まで掘れませんでした。途中で切れたので困ったと思いながら尼さんの所へ持って行きますと、ニコニコ笑われて、ヤマイモを掘るのは難しいんだよと優しく言って下さいました。

 そのヤマイモの近くに緑の上下の服を着た人がときおりいました。尼さんは、「見るんでない」と言いました。深い草原のなかにひょっと立っています。細身の人がこちらを見ています。直感でただの人ではないなと思いました。尼さんが小声で言うには、どうやら蛇の化身らしいようなのです。「いつも遠くから尼さんをみている」と言いますので、びっくりして、また緑の人の方を見てしまいました。緑の人もどうやらこちらの気配を感じたのか、右下の草原を二度ほど見ながら、その中に頭から屈みこむようにして姿を消しました。
 尼さんは、「もう姿を見せないかもしれないね」と言いました。私はその後、見てはいませんが尼さんは感じているようでした。お滝の道場には青大将という蛇が住んでいて、台所や押入れの中の尼さんの布団の上にいたことがあります。妙宣さんが、いつも飛び上がっていました。留守中にお参りに来る人のために、石炭小屋にカギをしまっていました。カギをとろうとしたら屋根裏から蛇が顔をだしたとよく聞いています。留守番をしていたのでしょう。土地を守っていたのか、法華経の道場を守っていたのか、おそらく、法華経の有難いお経を聞いて成仏を願っていたのでしょう。
 南無妙法蓮華経の力によって、畜生の苦しみを逃れ、また、法華経を守るという守護の道心を持たれていたと思います。

 道場への道は参詣の道ではありますが、もとは熊の通り道でした。定山渓へと進む道でした。精竜の滝道場は10年の間、災害もなく檀家さんと修行ができたのは、私達の目には見えない、想像もできない守護があったと思われます。
 私達は守られているということを忘れずに、今年も信仰に励んでいきましょう。