70.妙覚寺の石塔を建て

 今年の10月6日は開創法尼(尼さん)の20回忌になります。
 10月7日に日蓮聖人の726年のお会式を行ないました。
 10月は尼さんとお祖師さまの年忌にあたり、私達にとっては親の年忌と同じように大事にしなければならない法要です。
 しかし、仕事や子供・家族などの用事でお参りできない事情があります。そういう人は前以ってお寺にお参りに来るべきです。
 お会式当日の夜中に檀家から電話がありました。ご祈祷を頼むという電話です。

 尼さんは困った時は夜中であろうが朝早くであろうがお寺に来るが、お寺の大事な法要には理由をつけてお参りにこないものだと言っていました。
 喉元すぎれば熱さを忘れるです。
 お寺の数ある行事のなかでも、お会式はお祖師さまのご恩に報いる法要です。何をさしおいてもお参りすべきことです。もし、お祖師さまにすがることができれば、仕事があろうが何があろうが、それらは後回しにしてお祖師さまにすがることと思います。
 せめて来れないときは早めにお寺に来てお参りをすべきなのです。

 私は師匠の開創法尼のご恩を忘れないように努力しています。
 お寺のなかで箸の持ち方靴の脱ぎ方電話の応対のしかたなど、すべて尼さん教えていただきました。今日、住職としていることも尼さんのお陰です。
 お寺の中で育ちましたから、尼さんの願いも知っています。尼さんの願いは土地を広げることでした。この円山に法華経のお題目を鳴り響かすことでした。神宮やほかの寺などが多いように神仏の棲む清浄の地が円山です。
 妙覚寺の入り口に土地140坪を買い、この度は妙覚寺と書いた石塔を建てることができました。一番悦んで下さっているのは尼さんと思いますし、尼さんの悔しさを知っている弟子として身が震えるほどの嬉しさがあります。これも檀信徒の皆様の協力があってのことです。
 私は皆さんが死んで尼さんと会うことがあったとき、尼さんから叱られないようにと願っていますし、そのように教化すべく努力しています。
 お寺にお参りに来た時に、妙覚寺と書かれた石塔を見て、尼さんの法華経にかけた行者の姿を想像していただければ幸甚です。

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