73.寒修行ごくろうさまでした

 今では見られなくなった寒修行。
 妙覚寺は昭和30年にこの円山に居をかまえ、以来、毎年欠かすことなく寒修行が行なわれてきました。
 今年も檀家さんの参加で余市と札幌の寒修行ができました。
 檀家さんが行なう寒修行の浄財は、お寺の仏具や備品・修繕にあててきました。多いときには200万を超えたこともあります。各地区の皆さんが11月から2月の節分まで、寒中毎夜、提灯をさげ、うちわ太鼓を打って寒行をした浄財です。
 自分自身の修行であり、法華経を広めるための修行です。
 お寺でも尼さんを先頭に妙恵さん妙宣さんと私と二手に分かれたり、一人ずつ歩いたり行なっていました。
 一軒一軒の家を回りますので、様々な人がいます。怪訝そうな顔をして投げ捨てるようにお金を出す人、玄関の戸をいっぱいに開けて手を合わせる人などさまざまです。
 マンションが建ち個々の家に回ることができないようになってきました。また、それぞれの家が立派になり、玄関に風防ができて、太鼓の音が家の中に聞こえなくなってきました。また、寒行を知らない人がどんどん増えて、時代の変化とともに寒行のスタイルが古いものとなってきました。寒行の意義は深いのですが、この太鼓を打つことや行衣が異端のものとみなされる時代になったようです。これは、寒行をする人がいなくなったためです。
 寒行は自分自身の罪障消滅の修行です。
 法華経の縁を結ぶ、結縁の大切な修行です。
 浄罪は法華経のために役立てることにより、布施された方のために功徳を積むことになります。
 寒行に参加された方ごくろうさまでした。浄財を布施された方の「功徳甚多」を祈願申し上げます。