80.身延山五重塔記念写真

 合掌。団参では9年ぶり、私は3年ぶりの身延山参拝でした。
 想いおこしますと、尼さんが存命中は毎月、身延山に参拝していました。大本堂が建立され、最初にお祖師さまの像が安置され、しだいに数年をかけて釈迦・多宝、四菩薩などの諸尊が揃い、現在の形になるまでを尼さんと見てきました。

 私にとって身延山は日蓮聖人が常におられる聖地です。その聖地に弟子の真祥をおくることは喜びであり、それにこたえて4年の歳月を給仕に励んでいることは、ことに尼さんのご恩に報いたことと思っています。

 昨年・一昨年と妙覚寺の入り口に土地を買い駐車場の整備や妙覚寺の石碑を建立することができました。諸寺を回ることは寺にとってはゆとりがなくてはできません。今回の身延山参拝の意図は弟子の真祥が身延山で励んでいるのに、3年の間、面会にいけずに寂しい思いをさせていたからでした。8月2日からは信行道場35日間の修行に入り、それを終えると正式に日蓮宗の教師となります。そのまえにぜひとも団参をして、法主さまをはじめ各部長さま方々にご挨拶をし、真祥を励まそうと思いました。

 私が信行道場に入ったのは大学院に入ってからで僧侶になって10年の歳月を経ていました。誰も信行道場とはどういうところかわからないことでしたので、檀家さんにも知らせないで入り、夏のお盆参りの手伝いができないことを気にしての道場生活でした。身延山で行なわれる信行道場は私にとっては、身延山に35日間もいることができる悦びでした。お祖師さまが本当に身延山におられるのかという真剣な気持ちで臨みました。

 この気持ちは感応を磨くという尼さんの教えにありました。妙覚寺は祈祷の流れを汲む寺です。御前さまの日教上人は師匠の東上人より指導をうけ、尼さんは御前さまから指導をうけて熱湯の祈祷を行なうようになりました。私は御前さまを中山法華経寺で2年間、肌で感じることができました。御前さまを知っている人がほとんどいなくなった寂しさはありますが、御前様から指導をうけた悦びをもっています。この指導とは側にいて感受するもので、言葉で教えられたことではありません。私も妙宣さんも尼さんから言葉で伝授されたことは、本当に一つくらいのことです。これらのことをいかに真祥に伝えるかという時を向かえたことを痛切に感じています。

 今回の参拝で、私は初めて身延山で行力を得て帰ってきたと感じました。そして、法主さまにご挨拶し、その記念のお品を妙覚寺のお祖師さまにお供えしましたら、お祖師さまがことに喜ばれたことに深く感銘しました。法主さまはお祖師さまの名代であることを教わりました。

 五重塔を背景にした団参の写真は始めてのもので、また五重塔の威容を拝見できたのも私たちが最初です。皆さんのご芳情に感謝申し上げ、記念の写真をお贈りします。37度を超えた猛暑に打ち勝つ信心をしました。このつぎも楽しい参拝旅行をしましょう
        平成20年7月吉日  再拝