弁天堂と尼さん(2)

身延山に団参して、早くも2ヶ月になろうとしています。

北京オリンピックがあり、自民党の総裁選の話題にと時がすぎていきます。この10月に、妙覚寺の開創日延法尼(尼さんと呼び慕われていました)が亡くなって20年になります。

日延法尼は昔の話をよくして下さいました。西野の奥に精竜の滝道場があり、そこでは尼さんが弁天堂で修業したころの思い出などを語って下さったのです。身延山と並んで七面山があり、七面山の登り口のむかいに白糸の滝があります。この滝は徳川家康の側室「お万の方」が、滝に打たれ身を清めて七面山の女人禁制を解いたとわれています。弁天堂はここを過ぎ300mあたりにあります。

また、弁天堂は大本山法華経寺(千葉県市川市)の奥の院の別院道場になります。弁天堂は雄滝とよばれる激しい滝に打たれて、日夜、読経の修行を重ねて感応を磨くところです。感応とは普通には見えないものを見、聞こえない音を聞き、水行と唱題の行力によって、病気平癒や魔性の者や霊障から救う力をいいます。

日延法尼はここで修行を重ねられました。師匠の東日教上人の行力や、不思議な霊界の話などを聞くのが、精竜の滝での楽しみでした。

 今年、弁天堂の住職さまより年賀状をいただき、その写真を見ると、新しく書院を建て直し立派になっている雄姿にびっくりしました。4年前に弟子の真祥を連れて弁天堂に行き、日延法尼の修行の地を参拝したときは、まだありませんでした。羽衣橋を渡って白糸の瀧から降りて、川の右側面の、その道路に車が通るほど広く整備されていたのにも驚きましたが、今年の写真を見て尼さんを思い出し感慨深いものがありました。昔は川の流れで毎日歩くところが変わった処だったからです。

 ご住職の伊藤上人は、はじめ信徒として弁天堂に給仕され、後に得度して今日にいたったといいます。奥様と共にお守りしていると聞いています。

 法華経寺の奥の院には人工の滝がつくられています。この滝は東日教上人が生存中につくられたもので、東日教上人はここで水行をされていました。日延法尼も水行を続けられ私も続けています。日延法尼が年齢とともに心臓にこたえてくると言っていました。その当時の私はガムシャラに水をかぶることしか頭になかったのですが、今は水行のたびに日延法尼の言葉と修行の厳しさを感じています。水行を行なうことの大事なことは精神を集中することということを、やっとわかってきたように思います。

 皆さんもこれから水行をして、心身の清浄を祈願しませんか。水行のしかたをお教え致します。合掌