89.お経の力

お経の力、これを経力(きょうりき)といいます。別な言い方では仏力ともいいます。経力は阿弥陀経とか大日経とか法華経という、お経の持っている神秘な力をさし、仏力とは阿弥陀仏とか大日如来、釈尊などの仏さまの持っている力をいいます。仏教ではそれぞれのお経の功徳や、仏さまの功徳の違いを説いています。
お経は釈尊が50年間に、いろいろな人に説いた教えを、いつ・どこで・だれに・なんのための説いたかを記録したものです。子供のためにやさしく説いたり、当時のインドでは身分差があり教育を受けない者にわかりやすく説いたり、男女・職業・年齢・知能に応じて説き分けて説いていました。
お経はその時その場の状況を詳しく記録したものですが、内容は仏と弟子、弥勒菩薩や文殊菩薩などの会話には、記録を超えた力を持ったものが完成されました。法華経はその代表的なお経で、一文字に一仏が備わっているというように説かれています。そして、その文字の一つ一つが、金色の光を放っているというのです。
つまり、お経に仏さまの力が込められているのです。日蓮聖人はこのことを、

「釈尊の因行果徳の二法は妙法蓮華経の五字に具足す」

と、のべています。釈尊のすべての功徳が「法華経」に秘められているということです。
 お経にはさまざまあります。その功徳と力を、次のように喩えています。小川や池、川や河、湖、そして海のように違うというのです。法華経は大きな海のようにすべてのお経の功徳を包括しているのです。
 ご祈祷をして感じることは法華経の経力の強さです。
 さまざまな障害を打破して願いを叶えてくれるお経は法華経です。私たちは兎角、理屈を考えてしまいますが、法華経は不思議な強い経力を示して下さいます。ご信仰を強くして励んで下さい。