95.草取り

この季節になると、境内のまわりは雑草だらけになります。
ありがたいことに、檀家さんが数名、来てくれて草取りをして下さいます。
夕方になると、蚊がでてくるので、暑い日中が勝負です。

仏道修行で、一番、だいじなことが「掃除」です。
家の中や外もあるし、一日中、掃除をしても、
つぎからつぎへと、ほこりが溜まり、きりがありません。
これが、お金だったら、うれしいことですね。

お釈迦さまのお弟子に、シュリハントク、という人がいました。
自分の名前さえも分からない、という無知の者でした。
釈尊はシュリハントクに、掃除をするように命じました。
シュリハントクは、命令されたと思い、腹立ちました。
しかし、誰もがバカにした自分に、
声をかけてくれたことが、うれしかったのです。

シュリハントクは毎日、掃除をしました。
インドの空気は乾燥して、ガンジスの河砂が舞い込みます。
一日に、なんども、なんども掃除をしました。
シュリハントクは、悟ったのです。
そして、お釈迦さまから仏になる授記をえたのです。

これは、どういうことでしょうか。
シュリハントクは、人間の心にもゴミが溜まり、
毎日毎日、掃除をして清めることを知ったのです。

家の中で、お題目を唱え、お経を唱えていても、
家の前にゴミがたまり、雑草が汚く生い茂っていたら、
他人は、お経を唱えるより、草取りをしたらいいのに、
と、いうはずです。
そのほうが、功徳になります。


雑草は、修行をさせていただく、財宝なのです。
足腰が痛くても、お祖師さまが守って下さいます。
お祖師さまに恩返しと思えばこそ。