6.尼さんの日記より
 精竜の滝を始めてみるまで(6)

 この日から私のお題目、お祖師様に接する心構えが日々いっそう力が入り、唱えるお題目にも力が入り、毎日頂く水行も一日五回にし、我が身を清め、心身ともに命を懸ける心が強く強く心に打ち付けてきます。
 日々に唱えるお題目、心から嬉し涙にくれております。人々それぞれに命を懸けることがあり、私は最位第一の法華経に命を懸け自身をみがき、そして大聖人様、法華経に恥ずかしくない行者になりたいと心のそこから誓いをたてて精進しております。
 ところがこの18日の夜より毎夜8時すぎ頃から行堂の前を雪を踏む足音がサクサクと聞こえ、この雪の中にくる人もいないのに足音がする。私とKと二人で「また来たよ」と話をしていたら屋根に石の音がコロコロと聞こえ顔を見合わせる。それっきり何の音もしない、10時だから休みましょうと、床に就いたのは11時。私の寝室の外のドアに、大きな石を投げあたった音でビックリして目を覚ました。マッチをつけて時計を見たら12時半。夢を見たようにも考えられ、寝る前の屋根の石を思い出しながら、心の中でお題目を唱え、トロトロとしたら、勢いよくドアがパットあいて風が吹き込んできた時のように部屋のなかに風がおこり、布団にかけていたタオルのカタカケが私の顔に「ガバ」とかかった。私は思わず飛び起き、布団の上に座りこれ以上出ないと言う程の大きな声を張り上げてお題目を唱えた。目をキリットあけて見た。その時、私の左の所に黒い煙のようなものがユラユラとゆれていたが、まもなくいなくなった。
 私はお題目を唱えながら横目で見えたがその煙のようなものは、何かわからないが畳から五尺もあったか、細長い煙だった。
 隣の部屋に寝ていたKを呼んでみたら、すぐ返事をしたので「ビックリしたでしょう」と言ったところ、Kも石の音で目を覚ましてから眠れないでいたので「来ているな」と思って心でお題目を唱えていたとの事でした。
 28日に行堂を出て、29、30、31日と檀家まわりの寒行をして2月1日昼に行堂に帰ってきた。すぐ水行をして御本尊にご挨拶をさせていただき、少々体を休ませているうちにもう暗くなりかけてきた。